イタリア旅行 3日目 ポルトフィーノ・チンクエテッレ~この旅 最大のピンチ発生!!
3日目。今日はこの旅のハイライトと言ってもよい一日。午前にポルトフィーノ、午後にチンクエテッレを周ります。
港に面した窓を開けると、昨日までの青空とは打って変わって雨。
ホテル内のレストランで朝食を済ませ、ポルトフィーノ行きのバスの時間まで少し散歩をします。ホテル前のメインストリートは昨日歩いたので裏手の方へ。サンタ・マルゲリータ・リグレの街は港の前以外ほとんど平らな場所がありません。ホテルの裏手もすぐ小高い山になっていて、見上げると雰囲気よさそうな境界の姿がありました。
教会の名前はサン・ジャコモ・ディ・コルテ教会。中に入ると最前列でご婦人が一人お祈りをしています。迷惑にならないよう静かに見学。天井画とシャンデリアが美しく、照明が点いたらさぞかし見事なんだろうなぁと感嘆。私たちが普段訪れる教会はどれも観光客ぎっしりで騒々しいところが多いですが、こうして地元の人の通う静かな教会を訪れてみると、教会ってお祈りをする場所なんだなぁと当たり前のことを再認識します。
教会を出て港を見下ろします。小降りの雨の中、沖には分厚い雲の中から日差しが差し込んでいました。南欧の港町。どんなシチュエーションでも絵になります。
港に戻る頃には雨が大降りに。ヴィットリオ・ヴェネト広場のバス停から82番のバスでポルトフィーノに向かいます。チケットは昨日駅前の売店で購入済み。2ユーロ。イタリアの路線バスは基本みなオレンジ色です。
車内は通勤の人で混雑。今はもう観光シーズンではありませんが、夏場はこれに観光客も加わり、途中のバス停からでは乗れないこともあるみたいです。ポルトフィーノまでは約20分。まだ朝なせいか、観光客の姿はあまり無く、徐々に乗客も少なくなっていきます。
そしていよいよポルトフィーノに到着。雨は上がりました。濡れた路面に日差しが当たってキラキラと輝いています。
私がポルトフィーノという場所を初めて知ったのは2000年に東京ディズニーシーがオープンした頃でした。当時はまだ欧米への渡航経験が無く、東京ディズニーシーのエントランスを飾るヨーロッパの港町、メディテレーニアン・ハーバーの風景は、テーマパークの作り物とはいえ衝撃を受けたもんです。そしてそのモデルと言われているのがここポルトフィーノ。東京ディズニーシーの中にもポルトフィーノという名前のカフェがあるので間違いないでしょう。いつかはこんな所に行って見たいなぁとずっと思っていました。その頃スリランカに旅したとき、食事の際たまたまテーブルで相席になったイタリア人と会話をし、ポルトフィーノに行って見たいと言ったことも覚えています。まぁ、ローマやフィレンツェは行けても、こんな地方の港町に行くことなんて無理だろうなと思っていた夢が、15年の時を経てようやく実現。バスを降りて港へ続く石畳の小道を踏みしめながら歩きます。
来たーーーっ!!
これは東京ディズニーシー(笑)
港沿いの道を散策します。10時前ということもあり、ショップやレストランは開店準備中。観光客が少ないこの時間帯はオススメです。
港を南側に回りこむと小高い山になっていて、その上にブラウン城というお城があります。入館料が5ユーロほどかかりますが、このお城から見るポルトフィーノの街並みが絶景。外せないスポットです。ただし下から見上げる以上に高さがあり、かなり急な坂道を10分少々登る必要があります。
で、そこから見る景色がこれ。まさに絶景です。
ジオラマ風にしてみました。
ここも私たち以外に観光客はおらず、お城の庭にある絶好の展望台もしばらくの間貸切でした。この展望台も決して広いスペースではないので、混雑してくると自撮りの観光客で行列になりそうです。やはり来るなら朝一ですね。ちなみにポルトフィーノに来るなら午前をオススメする理由はもうひとつ、写真がキレイに撮れることです。ここは東方向に開けた港のため、午前が順光、午後は逆光になってしまうからです。ロマンティクに夕陽をと言いたいところですが、西側は高い山に阻まれるため、夕陽に染まる街を撮ることも難しいのです。逆にチンクエテッレは南~西側に開けているため、こちらは午後~夕方がオススメですね。天気がよければ夕陽に染まる港町が撮影できます。
ブラウン城は、城というより豪勢な居宅という感じ。実際このブラウンという名は、19世紀にここを所有していたイギリス領事の名から来ているようですが、そもそもはこの港町を守るために作られた要塞だそうで、まぁ当時は大変な時代だったのでしょうが、今はこうして平和に観光できることに感謝ですね。
この街はとにかく高級という名がピッタリのリゾートで、私たち庶民は日帰りでフラッと立ち寄るのが関の山ですが、山の上を見上げるとそれはそれはセレブリティな別荘風の建物が鎮座しています。よって街中のショップも、風光明媚な雰囲気に似つかわしくないブランドショップが並んでいます。
個性的な景色とあって、街中のショップにはイラストやポストカードなど、この地をデザインしたスーベニアグッズがたくさん並べられています。もちろんご当地・観光地マグネットも購入しました。
2時間少々滞在して、11時35分のバスでサンタ・マルゲリータ・リグレに戻ります。帰りのバスは大混雑。僅か20分ほどですが、カーブの多い狭隘な道で急ブレーキを繰り返しなかなかハードな道中です。
午後はチンクエテッレに向かいます。バスからの接続が時刻表上では4分しかなく、間に合わなければ次の列車を考えていましたが、バスが飛ばしてくれたおかげで乗り換えも余裕。自動券売機でヴェルナッツァまでのチケットを買います。ちなみに自販機ではJCBカードも使用可!! 50分ほどで到着です。
サンタ・マルゲリータ・リグレから列車で行くと、手前からモンテロッソ、ヴェルナッツァ、マナローラ、コルニリア、リオマジョーレと5つの村に停車していきます。ただ列車によっては通過する駅もあり、比較的規模の大きいモンテロッソとリオマジョーレは停車する列車が多いです。
まずはヴェルナッツァ駅で降り、駅前の通りを港に向かいます。
チンクエテッレは5つの地という意味だそうで、このあたりの総称。そのような名前の駅も町もありません。断崖絶壁に建つ色鮮やかな家々の景観は世界遺産に登録されています。
村自体はさほど大きくないため、観光客が集中しかなり混雑しているように感じます。ただ、レストランやショップはそこそこ充実。ちょっと町を外れて展望台に登ってみました。
上の写真は港から駅に戻り、線路のガードをくぐって反対側の山から撮ったものです。ブドウ畑を手前に港の西半分が写っています。絶景ではありますが標高も高く、アプローチはものすごいきつい階段でそれなりの覚悟が必要です。もう一か所、ハイキングルートの入口にあるフォトスポットは港からも近く、足元は悪いですが比較的楽に登れました(この後、夜景を撮った場所です)。
ここからは船で次の村に向かいます。
途中コルニリアを通りますが、こちらは断崖絶壁の上で港が無いため降りることが出来ません。鉄道には駅があります。
次に見えてきたのはマナローラ。
ここはえらいところに港があります…
ここはシーフードのレストランが多くありました。ジェラートを頬張りながら散策します。
長いトンネル歩道を抜けると鉄道の駅。
ここから次のリオマジョーレまでは「愛の小道」という散策道がありますが、だいぶ前からがけ崩れで通行止めになっています。
また港に戻り、船でチンクエテッレ南端の村、リオマジョーレへ。
ここは結構大きな村です。港は狭いですが、線路から山側はお店やレストランが多くあります。
教会前の坂を上がると展望台があります。
イカや小魚のミックスフライが美味でした。
と、ここまで3つの村を巡ってきました。夕方も近くなり、一番気に入った村で夜景の写真を撮ろうと考えていたのですが、一番最初に訪れたヴェルナッツァに決定。列車で戻ります。
こちらも長い歩道トンネルを抜けたところにホームがありました。
ヴェルナッツァに戻り薄暗くなるまで時間を潰した後、昼間登った展望台とは別の場所へ。こちらはチンクエテッレを巡るハイキングルートの入口にあります。港全体が構図に入るのと、体力的にきつかったので(笑)
ここには私たち以外にも2人ほど三脚と一眼を構えた人がいました。やはり名所なんですね。いい雰囲気です。素晴らしい夜景が撮れました。
歩道は外灯も無いので、真っ暗になる前に急いで下山。夕食はここでとることに。
が、この判断が後で大変なピンチを招くことになろうとは…。
入ったのは港の端にあるBaia Saracenaというレストラン。パスタ・ジェノベーゼをチョイス。味はまあまあ。
隣の席ではスウェーデンから来たというご婦人がiPadをお店のwifiに接続できず苦心しているよう。私が設定を手伝って無事接続。記念に1枚(笑)
さて、帰りの電車の時間でも確認しようかなとネットで調べると…あれ、あまり本数が無いな…
昼間は20分も待てば列車がやってきましたが、流石に夜となると本数も減るのは当たり前。それでもヴェルナッツァを通る列車の時間はまあよかったのですが、この列車はいわゆるリージョナルの各駅停車で、宿のあるサンタ・マルゲリータ・リグレへ戻るには、モンテロッソで都市間の急行列車に乗り換える必要がありました。私が痛恨のミスを犯してしまったのはこの部分。まぁ少し待てば接続の列車があるだろうと高をくくっていたのですが、調べると22時まで無いことが判明。そして今は20時過ぎ。あぁ無駄な時間…。冷たい雨の降る中、ヴェルナッツァの駅でしばし考え、急行列車の停まるリオマジョーレに戻り時間を潰すことに。
レストランで会計を済ませようとカードを出すと「端末が壊れてて使えないよ!」と店員。「困ったなぁ現金持ち合わせてないから、近くのATMで下ろしてくるよ」と言うと、渋い顔をして端末にカードを通す。なんの問題もなく決済できました。店員は「ラッキーだったな!」と言うが、それってカードの手数料払いたくなくて、現金で精算させようとしていただけなんじゃないの? と勘ぐりたくなる。
再び列車に乗りリオマジョーレへ。昼間はあんなに観光客がいたリオマジョーレもこの時間は閑散。こういう気分で撮る夜景も心なしか寂しく写ります…
時間を持て余し駅へ戻ると小さなカフェが。聞けば22時までやっているとのことで、コーヒーを啜りながら列車を待つことに。まぁこんな時間も後で思えば悪くはないのかな…と
列車の到着まであと10分。カフェのお姉さんが後片付けを始めたので、店を出てホームへ。
券売機でチケットを買います。
22時10分。ほぼ定刻にジェノバ行きの急行列車が到着。チンクエテッレは夜でもあまり治安の心配はありませんでしたが、流石に深夜の列車はやや緊張します。あぁこれでホテルに帰れる…23時過ぎ、サンタ・マルゲリータ・リグレに到着。イタリアのというかヨーロッパの列車はほとんどがドアは自動で開きません。比較的新しい車両であれば電子式のボタンがあったりしますが、この車両はレバーを引いて開けるタイプでした。
ホームに停車してレバーを引くと…あれっ? 開かない!! ガン! ガン! ガン! とレバーを横に手前にと引いてもビクともしない…これって…おいっ! 降りられないじゃん!! 慌てて他のドアに移動するが時すでに遅し…中からドアを叩く私たちを見つけて、ホームからおじさんが助けに来てくれましたが、無常にも列車は動き出してしまうのでした…
このときの絶望感たるや、しばらく夢でうなされるんじゃないかというくらいの落っこちっぷり。幸い列車は一駅先で停車し、無事ドアを開けて降車することが出来ましたが…ここどこ? 駅の名はカモーリ・サンフルトーゾ。もう電池も残り少なくなったwifiルータを使って、戻りの列車の時間を調べます。25分待ちか・・・まぁ仕方ないと諦め、念のためリアルタイムの運行状況を調べると…2時間遅れ…
ガーーン(_□_;)ii
その次の列車のほうが早くくるんじゃない? …1時間半遅れ…
ガーーン(_□_;)ii
ってことは前の列車も遅れてくる? …定刻どおり出発済み…
ガーーン(_□_;)ii
もう半泣きです。あぁちゃんと時間を調べて晩飯食ってれば…と後悔しても遅し。このままでは宿に戻れるのは2時近くになってしまいます。
とりあえず駅前に出るもタクシーの影も無く。必死の思いでホテルに電話。
私…「あの~今、サンフルトーゾっていう駅にいるんですけど、列車が無くて…タクシーの電話番号分かりませんか?」
ホテル…「あっ? サンフルトーゾ? なんでこんな時間にそんなとこいるんだ? そこにタクシーなんて無いぞ!」
私…「えっ?! んなアホな」
ホテル…「そこからは船しかないぞ! でも船のチャーターはこんな時間じゃ遅すぎる。とりあえず電話番号は教えてやるけど」
私…「いやいや、だって列車で来たんですよ? チンクエテッレから。でもサンタ・マルゲリータで降りそこなって」
ホテル…「サンフルトーゾに駅なんか無いよ!!」
自分の拙い英語力もあり事情をうまく説明できずに終了…確かに地図を見るとサンタ・マルゲリータからはポルトフィーノ半島を挟んで反対側にあり、列車はトンネルを通って僅か10分弱で抜けてしまうが、クルマだと山道を通ってかなり遠回りをしないと辿り着かなさそう。でも船しかないってことはないだろ!!
途方も無い絶望感に襲われながら、そう言えば現金も無いことを思い出し駅前をウロつくと、暗闇の中にATMの明かり…おぉ神は我を見捨てなかった。
現金を引き出し、2時間後の列車を待つ覚悟を決めかけたとき、再び神の救い登場。タクシーがやってきたのです。お客さんを駅まで乗せてきたらしく、身を乗り出して運転手に話しかける。「タクシーだと時間も料金も掛かるよ」とは言われたものの、いつ来るか分からない列車を深夜の見知らぬ駅で待つよりはマシ。救いの神に乗り込んでサンタ・マルゲリータほ目指すのでした。
タクシーはかなりの山道を上がっていきます。途中遥か眼下にサンタ・マルゲリータの街並みが見えると感慨も一入。ただでさえ美しい夜景が、今日は涙に滲んで見えます(爆)
結局ホテルに着いたのは0時過ぎ。さっき電話で応対したフロントのおじさんから部屋の鍵を受け取ります。
「そうか、あんたの言ってたのはカモーリ駅のことか!!」
そう、なぜか自分はサンフルトーゾという文字が目について、それが駅名だと思っていたのですが、正しくはカモーリと言うそう。サンタ・マルゲリータ・リグレ駅もポルトフィーノというサブタイトルが入っているように、カモーリ駅も近くのリゾート地サンフルトーゾが併記されていたのです。で、サンフルトーゾはポルトフィーノ半島の先端にある船でしかいけない場所。なのでおじさんは「船しかないよ」と言ってたのでした。っていうか駅って言ってんだからそのくらい察してくれよと。
部屋に入るともうグッタリ…長い長い一日が終わったのでした。
港に面した窓を開けると、昨日までの青空とは打って変わって雨。
ホテル内のレストランで朝食を済ませ、ポルトフィーノ行きのバスの時間まで少し散歩をします。ホテル前のメインストリートは昨日歩いたので裏手の方へ。サンタ・マルゲリータ・リグレの街は港の前以外ほとんど平らな場所がありません。ホテルの裏手もすぐ小高い山になっていて、見上げると雰囲気よさそうな境界の姿がありました。
教会の名前はサン・ジャコモ・ディ・コルテ教会。中に入ると最前列でご婦人が一人お祈りをしています。迷惑にならないよう静かに見学。天井画とシャンデリアが美しく、照明が点いたらさぞかし見事なんだろうなぁと感嘆。私たちが普段訪れる教会はどれも観光客ぎっしりで騒々しいところが多いですが、こうして地元の人の通う静かな教会を訪れてみると、教会ってお祈りをする場所なんだなぁと当たり前のことを再認識します。
教会を出て港を見下ろします。小降りの雨の中、沖には分厚い雲の中から日差しが差し込んでいました。南欧の港町。どんなシチュエーションでも絵になります。
港に戻る頃には雨が大降りに。ヴィットリオ・ヴェネト広場のバス停から82番のバスでポルトフィーノに向かいます。チケットは昨日駅前の売店で購入済み。2ユーロ。イタリアの路線バスは基本みなオレンジ色です。
車内は通勤の人で混雑。今はもう観光シーズンではありませんが、夏場はこれに観光客も加わり、途中のバス停からでは乗れないこともあるみたいです。ポルトフィーノまでは約20分。まだ朝なせいか、観光客の姿はあまり無く、徐々に乗客も少なくなっていきます。
そしていよいよポルトフィーノに到着。雨は上がりました。濡れた路面に日差しが当たってキラキラと輝いています。
私がポルトフィーノという場所を初めて知ったのは2000年に東京ディズニーシーがオープンした頃でした。当時はまだ欧米への渡航経験が無く、東京ディズニーシーのエントランスを飾るヨーロッパの港町、メディテレーニアン・ハーバーの風景は、テーマパークの作り物とはいえ衝撃を受けたもんです。そしてそのモデルと言われているのがここポルトフィーノ。東京ディズニーシーの中にもポルトフィーノという名前のカフェがあるので間違いないでしょう。いつかはこんな所に行って見たいなぁとずっと思っていました。その頃スリランカに旅したとき、食事の際たまたまテーブルで相席になったイタリア人と会話をし、ポルトフィーノに行って見たいと言ったことも覚えています。まぁ、ローマやフィレンツェは行けても、こんな地方の港町に行くことなんて無理だろうなと思っていた夢が、15年の時を経てようやく実現。バスを降りて港へ続く石畳の小道を踏みしめながら歩きます。
来たーーーっ!!
これは東京ディズニーシー(笑)
港沿いの道を散策します。10時前ということもあり、ショップやレストランは開店準備中。観光客が少ないこの時間帯はオススメです。
港を南側に回りこむと小高い山になっていて、その上にブラウン城というお城があります。入館料が5ユーロほどかかりますが、このお城から見るポルトフィーノの街並みが絶景。外せないスポットです。ただし下から見上げる以上に高さがあり、かなり急な坂道を10分少々登る必要があります。
で、そこから見る景色がこれ。まさに絶景です。
ジオラマ風にしてみました。
ここも私たち以外に観光客はおらず、お城の庭にある絶好の展望台もしばらくの間貸切でした。この展望台も決して広いスペースではないので、混雑してくると自撮りの観光客で行列になりそうです。やはり来るなら朝一ですね。ちなみにポルトフィーノに来るなら午前をオススメする理由はもうひとつ、写真がキレイに撮れることです。ここは東方向に開けた港のため、午前が順光、午後は逆光になってしまうからです。ロマンティクに夕陽をと言いたいところですが、西側は高い山に阻まれるため、夕陽に染まる街を撮ることも難しいのです。逆にチンクエテッレは南~西側に開けているため、こちらは午後~夕方がオススメですね。天気がよければ夕陽に染まる港町が撮影できます。
ブラウン城は、城というより豪勢な居宅という感じ。実際このブラウンという名は、19世紀にここを所有していたイギリス領事の名から来ているようですが、そもそもはこの港町を守るために作られた要塞だそうで、まぁ当時は大変な時代だったのでしょうが、今はこうして平和に観光できることに感謝ですね。
この街はとにかく高級という名がピッタリのリゾートで、私たち庶民は日帰りでフラッと立ち寄るのが関の山ですが、山の上を見上げるとそれはそれはセレブリティな別荘風の建物が鎮座しています。よって街中のショップも、風光明媚な雰囲気に似つかわしくないブランドショップが並んでいます。
個性的な景色とあって、街中のショップにはイラストやポストカードなど、この地をデザインしたスーベニアグッズがたくさん並べられています。もちろんご当地・観光地マグネットも購入しました。
2時間少々滞在して、11時35分のバスでサンタ・マルゲリータ・リグレに戻ります。帰りのバスは大混雑。僅か20分ほどですが、カーブの多い狭隘な道で急ブレーキを繰り返しなかなかハードな道中です。
午後はチンクエテッレに向かいます。バスからの接続が時刻表上では4分しかなく、間に合わなければ次の列車を考えていましたが、バスが飛ばしてくれたおかげで乗り換えも余裕。自動券売機でヴェルナッツァまでのチケットを買います。ちなみに自販機ではJCBカードも使用可!! 50分ほどで到着です。
サンタ・マルゲリータ・リグレから列車で行くと、手前からモンテロッソ、ヴェルナッツァ、マナローラ、コルニリア、リオマジョーレと5つの村に停車していきます。ただ列車によっては通過する駅もあり、比較的規模の大きいモンテロッソとリオマジョーレは停車する列車が多いです。
まずはヴェルナッツァ駅で降り、駅前の通りを港に向かいます。
チンクエテッレは5つの地という意味だそうで、このあたりの総称。そのような名前の駅も町もありません。断崖絶壁に建つ色鮮やかな家々の景観は世界遺産に登録されています。
村自体はさほど大きくないため、観光客が集中しかなり混雑しているように感じます。ただ、レストランやショップはそこそこ充実。ちょっと町を外れて展望台に登ってみました。
上の写真は港から駅に戻り、線路のガードをくぐって反対側の山から撮ったものです。ブドウ畑を手前に港の西半分が写っています。絶景ではありますが標高も高く、アプローチはものすごいきつい階段でそれなりの覚悟が必要です。もう一か所、ハイキングルートの入口にあるフォトスポットは港からも近く、足元は悪いですが比較的楽に登れました(この後、夜景を撮った場所です)。
ここからは船で次の村に向かいます。
途中コルニリアを通りますが、こちらは断崖絶壁の上で港が無いため降りることが出来ません。鉄道には駅があります。
次に見えてきたのはマナローラ。
ここはえらいところに港があります…
ここはシーフードのレストランが多くありました。ジェラートを頬張りながら散策します。
長いトンネル歩道を抜けると鉄道の駅。
ここから次のリオマジョーレまでは「愛の小道」という散策道がありますが、だいぶ前からがけ崩れで通行止めになっています。
また港に戻り、船でチンクエテッレ南端の村、リオマジョーレへ。
ここは結構大きな村です。港は狭いですが、線路から山側はお店やレストランが多くあります。
教会前の坂を上がると展望台があります。
イカや小魚のミックスフライが美味でした。
と、ここまで3つの村を巡ってきました。夕方も近くなり、一番気に入った村で夜景の写真を撮ろうと考えていたのですが、一番最初に訪れたヴェルナッツァに決定。列車で戻ります。
こちらも長い歩道トンネルを抜けたところにホームがありました。
ヴェルナッツァに戻り薄暗くなるまで時間を潰した後、昼間登った展望台とは別の場所へ。こちらはチンクエテッレを巡るハイキングルートの入口にあります。港全体が構図に入るのと、体力的にきつかったので(笑)
ここには私たち以外にも2人ほど三脚と一眼を構えた人がいました。やはり名所なんですね。いい雰囲気です。素晴らしい夜景が撮れました。
歩道は外灯も無いので、真っ暗になる前に急いで下山。夕食はここでとることに。
が、この判断が後で大変なピンチを招くことになろうとは…。
入ったのは港の端にあるBaia Saracenaというレストラン。パスタ・ジェノベーゼをチョイス。味はまあまあ。
隣の席ではスウェーデンから来たというご婦人がiPadをお店のwifiに接続できず苦心しているよう。私が設定を手伝って無事接続。記念に1枚(笑)
さて、帰りの電車の時間でも確認しようかなとネットで調べると…あれ、あまり本数が無いな…
昼間は20分も待てば列車がやってきましたが、流石に夜となると本数も減るのは当たり前。それでもヴェルナッツァを通る列車の時間はまあよかったのですが、この列車はいわゆるリージョナルの各駅停車で、宿のあるサンタ・マルゲリータ・リグレへ戻るには、モンテロッソで都市間の急行列車に乗り換える必要がありました。私が痛恨のミスを犯してしまったのはこの部分。まぁ少し待てば接続の列車があるだろうと高をくくっていたのですが、調べると22時まで無いことが判明。そして今は20時過ぎ。あぁ無駄な時間…。冷たい雨の降る中、ヴェルナッツァの駅でしばし考え、急行列車の停まるリオマジョーレに戻り時間を潰すことに。
レストランで会計を済ませようとカードを出すと「端末が壊れてて使えないよ!」と店員。「困ったなぁ現金持ち合わせてないから、近くのATMで下ろしてくるよ」と言うと、渋い顔をして端末にカードを通す。なんの問題もなく決済できました。店員は「ラッキーだったな!」と言うが、それってカードの手数料払いたくなくて、現金で精算させようとしていただけなんじゃないの? と勘ぐりたくなる。
再び列車に乗りリオマジョーレへ。昼間はあんなに観光客がいたリオマジョーレもこの時間は閑散。こういう気分で撮る夜景も心なしか寂しく写ります…
時間を持て余し駅へ戻ると小さなカフェが。聞けば22時までやっているとのことで、コーヒーを啜りながら列車を待つことに。まぁこんな時間も後で思えば悪くはないのかな…と
列車の到着まであと10分。カフェのお姉さんが後片付けを始めたので、店を出てホームへ。
券売機でチケットを買います。
22時10分。ほぼ定刻にジェノバ行きの急行列車が到着。チンクエテッレは夜でもあまり治安の心配はありませんでしたが、流石に深夜の列車はやや緊張します。あぁこれでホテルに帰れる…23時過ぎ、サンタ・マルゲリータ・リグレに到着。イタリアのというかヨーロッパの列車はほとんどがドアは自動で開きません。比較的新しい車両であれば電子式のボタンがあったりしますが、この車両はレバーを引いて開けるタイプでした。
ホームに停車してレバーを引くと…あれっ? 開かない!! ガン! ガン! ガン! とレバーを横に手前にと引いてもビクともしない…これって…おいっ! 降りられないじゃん!! 慌てて他のドアに移動するが時すでに遅し…中からドアを叩く私たちを見つけて、ホームからおじさんが助けに来てくれましたが、無常にも列車は動き出してしまうのでした…
このときの絶望感たるや、しばらく夢でうなされるんじゃないかというくらいの落っこちっぷり。幸い列車は一駅先で停車し、無事ドアを開けて降車することが出来ましたが…ここどこ? 駅の名はカモーリ・サンフルトーゾ。もう電池も残り少なくなったwifiルータを使って、戻りの列車の時間を調べます。25分待ちか・・・まぁ仕方ないと諦め、念のためリアルタイムの運行状況を調べると…2時間遅れ…
ガーーン(_□_;)ii
その次の列車のほうが早くくるんじゃない? …1時間半遅れ…
ガーーン(_□_;)ii
ってことは前の列車も遅れてくる? …定刻どおり出発済み…
ガーーン(_□_;)ii
もう半泣きです。あぁちゃんと時間を調べて晩飯食ってれば…と後悔しても遅し。このままでは宿に戻れるのは2時近くになってしまいます。
とりあえず駅前に出るもタクシーの影も無く。必死の思いでホテルに電話。
私…「あの~今、サンフルトーゾっていう駅にいるんですけど、列車が無くて…タクシーの電話番号分かりませんか?」
ホテル…「あっ? サンフルトーゾ? なんでこんな時間にそんなとこいるんだ? そこにタクシーなんて無いぞ!」
私…「えっ?! んなアホな」
ホテル…「そこからは船しかないぞ! でも船のチャーターはこんな時間じゃ遅すぎる。とりあえず電話番号は教えてやるけど」
私…「いやいや、だって列車で来たんですよ? チンクエテッレから。でもサンタ・マルゲリータで降りそこなって」
ホテル…「サンフルトーゾに駅なんか無いよ!!」
自分の拙い英語力もあり事情をうまく説明できずに終了…確かに地図を見るとサンタ・マルゲリータからはポルトフィーノ半島を挟んで反対側にあり、列車はトンネルを通って僅か10分弱で抜けてしまうが、クルマだと山道を通ってかなり遠回りをしないと辿り着かなさそう。でも船しかないってことはないだろ!!
途方も無い絶望感に襲われながら、そう言えば現金も無いことを思い出し駅前をウロつくと、暗闇の中にATMの明かり…おぉ神は我を見捨てなかった。
現金を引き出し、2時間後の列車を待つ覚悟を決めかけたとき、再び神の救い登場。タクシーがやってきたのです。お客さんを駅まで乗せてきたらしく、身を乗り出して運転手に話しかける。「タクシーだと時間も料金も掛かるよ」とは言われたものの、いつ来るか分からない列車を深夜の見知らぬ駅で待つよりはマシ。救いの神に乗り込んでサンタ・マルゲリータほ目指すのでした。
タクシーはかなりの山道を上がっていきます。途中遥か眼下にサンタ・マルゲリータの街並みが見えると感慨も一入。ただでさえ美しい夜景が、今日は涙に滲んで見えます(爆)
結局ホテルに着いたのは0時過ぎ。さっき電話で応対したフロントのおじさんから部屋の鍵を受け取ります。
「そうか、あんたの言ってたのはカモーリ駅のことか!!」
そう、なぜか自分はサンフルトーゾという文字が目について、それが駅名だと思っていたのですが、正しくはカモーリと言うそう。サンタ・マルゲリータ・リグレ駅もポルトフィーノというサブタイトルが入っているように、カモーリ駅も近くのリゾート地サンフルトーゾが併記されていたのです。で、サンフルトーゾはポルトフィーノ半島の先端にある船でしかいけない場所。なのでおじさんは「船しかないよ」と言ってたのでした。っていうか駅って言ってんだからそのくらい察してくれよと。
部屋に入るともうグッタリ…長い長い一日が終わったのでした。
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